「受けて忘れず、施して語らず」仏教の教えのひとつだそうです。
「人に恩を受けたら、決して忘れないようにしよう。人にいい事をしたら、そのことをしゃべらないように」。まだまだ、この域には到底、及びませんが、意味の深い含蓄のある言葉です。
私なりの解釈を試みたいと思います。まず前段の「受けて忘れず」。昔、ある本で読んだのですが、「恩」には三つの段階があって、そのはじめが「知恩」だそうです。まず、知る事からはじまります。恩を頂いても、当たり前と思うようではダメ。有難いと知る事がまず肝要なのです。
次が「報恩」。恩を頂いた人に報いる努力をしよう。その人に対して、恥ずかしくない人間になろう。その為の精進をする。そういう意味だと思います。
そして、「施恩」。今度は、自分も施しをしよう。人に対して、私もいい事をしよう。難しいことですが、これが徳の積み重ねというものなのでしょう。
さて、「施して語らず」です。いいことをすれば自慢げにしゃべりたくなるのが凡人の常ですが、それをやってはいけないと戒めているのです。かつて、これと似たような言葉をアメリカンインディアンの知恵の中にみつけたことがあります。
それは「Do good and forget」というもので、「よいことをしなさい。そして忘れなさい」。簡単なようで奥の深い教えだと思います。
5年程前、アメリカの若い女優さんのインタビュー記事で、あなたの好きな言葉はと聞かれ、にっこり笑いながら、ニューヨークの老人から聞いたという「Do good and forget」をさりげなく答えました。名前は知りませんが、この女優さんが好きになりました。
昨今、いろいろとエライ人がいますが、どうも、逆の人が多いような気がします。恩を受けたらすぐ忘れる。施したら、なんでも自分がやったと吹聴する。これはいけません。
さっきの若い女優さんがキラリと光っています。
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