ずっとずっと昔、俳優の田中邦衛さんから、ちょっといい話を聞きました。
酒が一滴もダメな田中さんは、お茶をすすりながら、私はビールを飲みながら、数人で食事をしていた時の事です。ひょんな事から、相撲の話題になりました。
「ひいきの力士は」という私の問いかけに、田中さんは、ちょっと口をとがらせながら、「ボク、ジェシーが好きなんっすよ」しぶい田中さんにしては意外な答えでした。
ジェシーこと、高見山関はハワイ出身の力士で、その明るいキャラクターで、相撲ファン、とりわけ子供たちの人気を集めていました。大きなからだで、インタビューなどでは、"そっすねぇ・・・ふう、そっすね・・・ふう"と愛嬌のある受け答え、絶妙な個性で茶の間のアイドル的存在でした。
「ジェシーのどこが好きなんですか」と田中さんに尋ねると、それがなかなかの理由だったのです。
彼によると、こうです。
「高見山は、明るくふるまっているけれど、その影でいろいろ苦労があったと思うんですね。のどかなハワイでの生活と、相撲の世界では、天と地ほどの差がありますよね。言葉も分からない、その上厳しいしきたり、上下の序列、想像を超える稽古の厳しさ、それらを乗り越えて、あの明るさですから・・・」
つまり苦労をみじんもみせず、明るくふるまう姿が好きだと言う。田中さんのひとこと、ひとことは、彼自身の優しさがにじみ出た、なるほど、ステキな話でした。
高見山が切り拓いた外国人力士の存在は、今では日常的になっています。彼のおかげで、今年の初場所の朝青龍、白鵬の48秒の力相撲もみる事が出来たと思うのです。
それにしても、すごい一番でした。(夏場所にふたり共、ちょっと評判を落としましたが)
あらためて、高見山関(現在の東関親方)のなみなみならぬ努力に感謝したいと思います。
同じように米大リーグへの日本人選手の道を切り拓いた野茂さんや藪さんのパイオニア精神に敬意を表したいと思います。
「ノモ、ガンバレ」「ヤブ、ガンバレ」。
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